FI記号で四番目に出願件数が多いのがA61K (医薬用,歯科用又は化粧用製剤)
2007~2016年の10年間で、FI記号で三番目に出願件数が多いのがA61K (医薬用,歯科用又は化粧用製剤)です(図1参照)。A61Kは医薬品と化粧品との両方を含んでいますが、両者は似たような製品であると分類されています。そして、多くの出願があるということは世の中の関心が高い分野といえそうです。
A61K (医薬用,歯科用又は化粧用製剤)を詳細に見てみると、圧倒的にA61K8/00 (化粧品あるいは類似化粧品製剤)の出願件数が多いことがわかります。(図2参照)。つまり医薬品よりも化粧品のほうの出願件数が多いいのです。
A61K8/00 (化粧品あるいは類似化粧品製剤)をより詳しく見てみると、ダントツで多いのがA61K8/18 (組成に特徴があるもの)です(図3参照)。A61K8/00(化粧品あるいは類似化粧品製剤)は大別すると、A61K8/02(特別な物理的形態に特徴があるもの)とA61K8/18 (組成に特徴があるもの)とになりますが、組成に特徴をもたせることで新規性を出そうとしている発明が多いようです。
A61K8/18 の出願件数は2005年をピークに減少傾向
ここで、2000年~2016年までのA61K8/18 の出願件数の推移を見てみました(図4参照)。図より明らかなように、2000年から2005年までは出願件数が急増していますが、その後一貫して減少傾向となります。そして、2005年には3,000件以上あった出願件数が2016年には2,200件程度まで減少します。ただし、2011年には出願件数が2,100件程度まで減少したものの、その後増加しておりこの分野はまだまだ解決すべき課題は多そうです。なお、2005~2006年ころに出願がピークになり、その後減少するのは多くの分野で見られる日本の特許出願の特徴と言えそうです。
A61K8/18 の2016年における出願人一位は花王
この分野は出願数が多いため、2016年のみのA61K8/18における出願人を見てみました(図5参照)。図5より、出願件数が一番多かったのが花王でした。ついで、ロレアル、コーセー、ライオンと石鹸、洗剤、歯磨きなどの製造メーカーが上位を占めています。化粧品大手の資生堂は出願件数では第6位とそれほど高くありません。これは、A61K8/18の分類が医薬品と化粧品との中間的な分類であるため、純粋な化粧品の分野とは異なるからだと推測されます。
製品の種類ー効果のマトリクス図(図6参照)をみると、皮膚用の製品が一番多いことがわかります。そして、効果は「皮膚,頭皮の保護,賦活」であり、いわゆる育毛剤関係の出願が多いことがわかります。
スキンケア市場は増加傾向
図7よりスキンケア市場は増加傾向です。化粧品は皮膚関連が多いのですが、外国人向けの販売が好調なようです。また、医薬部外品の新規有効成分を配合した新商品が発売され、”シワ改善”の肌の悩みに対してアンチエイジングを中心とした高機能訴求品の需要が増加したことも増加の要因です。今後とも、効果が高い機能性化粧品が増加することが予測されます。