Bセクションで三番目に出願件数が多いのがB41(印刷関連)

Bセクションで三番目に出願件数が多いのがB41(印刷関連)です(図1参照)。その中で出願件数が一番多いのがB41J(タイプライタ;選択的プリンティング機構,すなわち版以外の手段でプリンティングする機構等)となっており(図2参照)、他の分類を圧倒してダントツで出願件数が多くなっています。タイプライタというと文字盤を打鍵して文字を印字する機械を思い浮かべますが、ここでは広く印刷する手段を意味していると考えていいようです。

B41J(タイプライタ等)の発明はインクジェット関連

 B41J(タイプライタ等)の中で一番出願が多いのがB41J2/00(プリンティングに特徴あるタイプライタ)となっています(図3参照)。B41J2/00(プリンティングに特徴あるタイプライタ)を更に詳しく見てみると、インクジェットに関連する発明であることがわかります(図4参照)。インクジェットは様々な技術が集まっていますが、特に41J2/005 (液体・粒子の接触に特徴)のある発明についての出願件数が多くなっています。

インクジェット関連の発明は減少傾向だが、いまだに出願件数は多い

B41J2/005 (液体・粒子の接触に特徴)について出願の推移を見てみると、2008年をピークとして減少傾向にあります(図5参照)。ある程度インクジェットの開発にめどが付いたためとも考えられますが、一方で2016年の出願件数は3千件以上もあり、まだまだ解決すべき課題があるとも言えそうです。

2016年のB41J2/005 (液体・粒子の接触に特徴)についての出願人を見ると(図6参照)、一位がセイコーエプソン、二位がキャノン、三位がリコーとなっています。また、出願内容を見ると(図7参照)インクジェットのノズル関連が多く、インクジェットのノズルにかんしてはまだまだ開発の余地があることがわかります。

マーケット情報と特許情報は相関性が高い

そこで、マーケットの状況を見てみると2013年以降市場規模は縮小傾向にあります。また、インクジェット市場はほとんどがコンシューマー向けであり、ビジネス用は全体の10%程度でしかありません(図8参照)。また、市場のシェアを見てみると(図9参照)、エプソンとキャノンとで市場を二分していることが見て取れます。辛うじてブラザーが10%程度の市場規模を持っているほかはほとんどプレイヤーがいない状況です。これは、2016年の特許出願の傾向と相関性が高いと言えそうです。

インクジェット市場は今後減少し続けていくことと予測

コンシューマー向けインクジェット製品の主な印刷用途の一つは年賀状だといわれています。IDC Japanが行った調査「2018年 国内プリント環境エンドユーザー調査:デジタルネイティブ世代のプリント意識」では、20歳~69歳の回答者の半数以上が主な印刷用途として年賀状を回答しています。また2019年以降の年賀状送付枚数について、全ての世代で「なくなる/減る」と考えている回答者の比率が高い結果となっています。このことからも、インクジェット市場は今後減少し続けていくことが予測されます。