情報は加工・分析してこそ価値が出る

市場ニーズの把握を行う部門による違い

情報は加工・分析してこそ価値が出る「新規事業展開の成否別に見た、市場ニーズの把握を行う部門」(2017年版中小企業白書)はかなり特徴的な結果となっています。(カッコ内は割合(複数回答))

新規事業に「成功した」企業が「成功していない」企業に比べて多いのは、

社内の経営企画部門担当者(成功した:51.7、成功していない:39.2)でした。

一方、新規事業に「成功していない」企業が「成功した」企業に比べて多いのは、

社内の営業部門担当者(成功した:62.8、成功していない:76.2)でした。

それ以外はほとんど差がありません。

以上の結果から、新規事業展開に「成功している」企業と「成功していない」企業とでは、市場ニーズの把握の仕方が大きく異なることがわかります。

成功するには情報の加工・分析が重要

「成功している」企業は、営業部門と経営企画部門の両方を活用しているのに対し、「成功していない」企業では主に営業部門だけで市場ニーズを把握しているようです。重要なのは、収集した情報をどのように加工・分析するかということです。

営業が集めてくるのはほとんどが一次情報です。つまり、お客さんの状況や販売情報などの生のデータなのです。一次情報だけだと、「当社の商品の今後はどうなるか」とか「今後売れ筋の商品はなにか」など、その情報が何を意味するのか見えづらいのです。

情報を活用するためには、必要な情報不要な情報を分別して、必要な情報のみを用いて表にしたり、図を描いたりする必要があります。1次情報を加工して描いた図表を2次情報といいます。

さらに重要なのは、得られた図表をどのように解釈するかということです。2次情報まで加工しても、その解釈が異なると違った行動へ結びつきます。つまり、将来売れそうな商品顧客が欲しがる部品や材料などの予想が異なってくるため、企業としての選択や行動が異なってくるのです。

「成功した」企業が「成功していない」企業よりも優れている部分が、まさに情報の加工・分析、及び解釈をする能力であり、その担当部署こそ「経営企画部門」ということができるでしょう。

新規事業展開に成功するか、成功できないかの差は情報を集めてくる能力ではなく加工・分析して、未来を予測する能力であるといえるのです。

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