利益を意識しない新規事業は失敗する

「新事業展開の成否別に見た、主な相談相手」(2017年版中小企業白書)は一見すると何を意味しているかつかみづらい図です。(カッコ内は割合(複数回答))

新規事業に「成功した」企業が「成功していない」企業に比べて多いのは、

民間金融機関(成功した:21.1、成功していない:16.6)と、

税理士・公認会計士(成功した:13.2、成功していない:10.2)でした。

それ以外は「成功していない」企業のほうが「成功した」企業より多いか、ほとんど差が無いのです。この結果だけを見ると、「成功していない」企業のほうが「成功した」企業より様々な相手に相談をしているような印象を受けます。

ただし、相談相手が民間金融機関税理士・公認会計士というのが重要な意味を持つのです。つまり、この両者は常日頃からお金を扱っている人たちであり、最も意識していることは企業がどのくらい利益を生み出しているかという点だからです。

新事業の相談はお金の動きがわかる人にする

金融機関はお金を貸す際には、「この企業は将来どの程度利益を出すことができるのか」ということを意識します。利益が出ないと貸したお金が戻らず、非常に困った立場となるからです。

税理士も会社の利益がどの程度上がっているのかを気にします。経営状態を正確に申告して正しい決算書を作成するためです。常日ごろお金の動きを扱っているため、どのくらい儲かっているかという視点の感度が高いことも理由の一つです。

新事業を相談する際に重要なのは、「何を作るか」、「誰に売るか」はもちろんですが、「どの程度利益が出るのか」がいちばん大事なポイントです。利益を出すためには「何を」、「誰に」、「どのくらい売るか」、「そのためのコストはどの程度」かを十分に考えて実行計画を作成する必要があります。

利益計画のない企業は赤字になりやすい

一般的に、利益計画を持たない企業は赤字になってしまうケースが多いのです。利益を意識しないために売上とコストのバランスがわからずムダな行動をするからです。

しかし、多くの中小企業では利益計画を作成していません。せいぜい売上の計画だけを粗くつくり、利益は感覚的に「このくらいだろう」と出していることがほとんどです。でも、そのような企業は新規事業に失敗する確率が高いといえるでしょう。新事業は利益計画をしっかりとたてて行わないと失敗する確立が高くなるといえるのです。

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