よく「ビジネスの筋がいい」とか「筋が悪い」という言い方を聞きます。筋がいいビジネスはどんどんと伸びていくのに対して、筋が悪いビジネスはほとんど伸びません。先日も幾つかのビジネスモデルの提案を聞く機会がありましたが、その中でも筋がいいものと悪いものがありました。

「筋が良いな」と思うビジネスは今後の伸びが期待できるものです。つまり、今は誰も手がけていないけれど、将来大きな需要が期待できそうなものです。

例えば立体感のある印刷物を簡便な方法で作成するというものがありました。従来の方法では立体感をつけるためにスクリーン印刷という方法を取ります。この方法は、スクリーン版を作りその上からインキをしごき出して厚盛することで紙面上に凹凸を出すのですが非常に手間がかかります。また版を作るために高コストです。

一方、その会社の方法は1枚からでも対応でき、かつコストも安くできるというものでした。また色彩の自由度が高く、立体感の程度も簡単に調整できるというものです。立体感があるために陰影がくっきりと表れ、印刷物が浮かび上がるように見えるのです。この方法が広まれば、デザイン関連やビジネス関連などの様々な分野で広がる予感がします。

一方、筋が悪いのは今後の伸びがさほど期待できないものです。例えば高齢者向けの音楽教室をやるというビジネスがあります。高齢者は時間があるために暇つぶしに音楽を習う人がいるようですが、音楽を習うというよりは一種のコミュニティのようです。また、参入障壁も低いために儲かるとわかれば多くの人が参入してくるでしょう。

「筋の良い」ビジネスは現在ではなく将来に目を向けて潜在需要を掘り起こすことに着目しているのに対し「筋が悪い」ビジネスは目の前の見えている需要にのみ着目しているといえます。その結果、将来伸びていくか先細りになるかの分かれ道となるのです。