先日、ある会社で経営計画を作成している最中に社長がいいました。「こういうものがないと先が見えないんだよね。」
その会社は数年前にも経営計画を策定しました。そのときには新商品が順調に売れていて、これから大きく成長しようとする時期だったのです。今後の売上予測などをもとに製品の製造計画などに落とし込んでいたときに社長(当時は専務)が大きな声を上げました。「あれ、これじゃ2年後には製造が間に合わないじゃないか」
そのときには社内生産と一部外注でまかなっていたのですが、そのうち生産能力が足りなくなることがわかりました。そして、売上の推移から見て遅くとも2年後には生産能力が不足することがあきらかになったのです。
その後の社長(当時専務)の動きは迅速でした。当時の社長に直訴して生産増強のための設備投資を決め、助成金なども活用しながら3千万円以上の設備を導入しました。
おかげで、その後の売上増加にも生産能力が不足することはなく順調に成長を続けることができています。
設備投資をした翌年に当時の社長が急逝したため、今の社長があとを継いだのですが、口癖のようにいいます。「いやー、あの時設備投資をしていなかったら先代の社長がなくなったときに会社をたたんでいたよ。」
経営計画は会社の将来を予測するものです。そのため、100%確実に言い当てることはできません。しかし、おそらく起こりうるだろうことを予測し、対策を立てることは可能です。その対策を取らないことで会社がおかしくなる例はたくさんあるのです。