マーケティングは活動を組み合わせることが大事
この中小企業白書(2017年度版)ではマーケティング活動についていろいろと述べていますが、マーケテイングをの4つの活動として定義しています。
- 自社の強みの把握
- 市場ニーズの把握
- 自社の製品・サービスのPR活動
- マーケティング活動の評価・検証
そして白書では、「これら四つの取組は、どれか一つのみを実施するのではなく、全ての活動を一貫して実施していくことが重要である」と結論づけています。それを示したのが第2-3-33 図(マーケテイング実施状況と新事業の効果との関係)です。
第2-3-33 図では、マーケティングの実施状況を以下の5つに分類しています。
- 四つのマーケティング活動全て実施している企業
- 自社の強み&市場ニーズ&PRに係る取組を実施している企業
- 自社の強み&市場ニーズの把握に向けた取組を実施している企業
- 自社の強みの把握に向けた取組のみ実施している企業
- いずれもやっていない企業
新規顧客の獲得にはPR活動が重要
この図は少し複雑なので見づらいのですが、一番左にある「新規顧客の獲得」では4つ全部の活動をした場合と、市場ニーズ&自社の強み&PR活動をした場合が同じ結果となり他よりも抜きん出ています。要するに新規顧客の獲得にはPR活動が重要という当たり前の結論のようです。
企業の知名度を上げるにはマーケティング活動の質が重要
一方、企業の知名度向上に関してはかなり特徴的な結果となりました。4つの活動全部を行っている企業から何もしていない企業まできれいに右肩下がりとなっています。おそらく企業の知名度を上げるためにはPR活動だけやっているのでは不十分であり、自社のマーケテイング活動の評価・検証を通して効果的なPRを行うことが重要であるようです。
従業員の意欲向上には従業員をマーケテイング活動に参加させること
従業員の意欲向上も特徴的な結果となりました。4つの活動すべてをおこなっている企業の数値が他を圧倒的に引き離しています。これは、マーケティング活動の評価・検証をおこなうことで、従業員のマーケティングへの参画をうながし、それが従業員の意欲向上に役立っているのだろうを推察されます。
社内の力を高めるためには、社内に目を向けた活動を中心に行う
一方、技術力の向上と既存業務の見直しによる業務効率化は市場ニーズ&自社の強みだけをやっている企業の数値が高くなっています。つまり、社内の力を高めるためには対外的なPRを活動を行うのではなく、社内活動に注力したほうが効率的と言えそうです。
マーケティング活動は何を目的にするかにより行う活動が様々に変化するという点で興味深い内容でした。