外部リソースを活用できない企業は成功しづらい
中小企業白書(2017年度版)では、「新事業展開に成功した企業は成功していない企業に比べて、外部リソースを活用している」傾向が高いことが示されています。そして、外部リソースを活用する際の「課題」に対して活用している企業と活用していない企業とで大きな開きがあります。
外部リソースは自社の不足する資源の補完に使う
外部リソースを活用していない企業は、
- 必要な人材、体制を自前で確保する場合と比較して、コストが割高に思われる
- 適正な契約金額の相場が分からない
- 自社で業務を行う場合と比べて、柔軟・臨機応変な対応がなされない
といった点に課題を感じています。
一方、外部リソースを活用している企業は、
- 自社で業務を行う場合と比べて、柔軟・臨機応変な対応がなされない
といった点には、ほとんど課題を感じていません。
とりわけ
- 特に問題は生じなかった
への回答割合が多数を占めています。
ものすごく簡単に言うと、外部リソース活用企業は外部リソースの使い方をよく知っていて、自社が足りない部分をうまく補っているということです。そのことは、活用企業と非活用企業とで最も大きな差である「自社で業務を行う場合と比べて、柔軟・臨機応変な対応がなされない」(活用企業:8.2、非活用企業:33.5)にあらわれています。
外部リソースの活用は高度な専門性に限定する
外部リソースは社員ではないためになんでも頼めばやってくれるというわけではありません。外部リソースのうまい使い方は『自社の社員ではできない専門的な仕事を依頼すること』なのです。高い専門知識と経験が必要な業務を行ってもらうことこそ外部リソースを十分に活かせる使い方と言えるでしょう。
外部リソースの費用は成果と見合っているかどうかで考える
そのため、費用は時間単価に直すと社員に比べかなり高額となります。図では「必要な人材、体制を自前で確保する場合と比較して、コストが割高に思われる」(活用企業:26.5、非活用企業:39.7)や「アウトソーシングの成果が対価に見合わない」(活用企業:18.4、非活用企業:29.4)にその結果が現れています。
外部リソースが割高と考えている企業は、おそらく自社の社員の給与をベースに考えているようです。しかし、自社ではできない高度な専門性のある仕事をしてもらうのですからその考えは間違っています。
費用の多寡はどこに成果目標をおくかによって評価すべきです。例えば、外部リソースを活用したため1千万円利益が出たとしたら100万円の謝金でも十分にペイします。10万円の成果しか出ないのなら100万円の謝金は高すぎるでしょう。要は依頼する仕事の成果を金額に置き換えられるかどうかが高いか安いかの判断基準となります。別な言い方をすると、成果を金額に置き換えることができない企業はうまく外部専門家を活用できないと言えるでしょう。
現在はなんでも自前で賄う時代ではありません。成果に対する費用対効果を十分に吟味して、頼むべきところは外部専門家に頼んだほうが効率の良い経営ができるのです。