特許情報解析の特徴は鳥の目、虫の目、魚の眼でみることができる

経営者の視点として「鳥の目」、「虫の目」、「魚の目」で見ることが推奨されています。

鳥の目鳥は空高く飛んでいるので高所から体像を把握する「目」に例えられます。大所高所から広い視野で見つめることで、物事の全体を俯瞰して、全体の成り立ちや仕組みを知ることができるのです。

 

虫の目虫は地面に近いところで暮らしているため足元を見つめることができます。そのため物事に「近づいて」見ることで現場における課題を知ることができます。また「虫の目」は、複眼です。目前の課題について、さまざまな角度から判断を行う「目」に例えられます。

 

魚の眼魚は潮の流れや干潮満潮という「流れ」を見ることができます。そのため時代の変化・潮流をみるための「目」に例えられます。時代の流れを意識できないと進むべき方向性を間違ってしまいます。「魚の目」は、今後の流れを見るトレンドの目であり、時代の流れが速い現代において、とても重要な「目」なのです。

 

以上述べた「鳥の目」、「虫の目」、「魚の目」が重要なのはわかっていても、具体的にどのように見ればいいかわからない人は大勢います。特許情報は「鳥の目」、「虫の目」、「魚の目」を使い分けることができる有効なツールなのです。

特許情報の分類から世の中の動きを知る

これから、具体的にどのように特許情報を用いて世の中を見ていけばよいか述べていきたいと思います。

特許情報大分類特許情報は6千万件以上の技術情報が集まっています。それぞれの発明に関連する記号が付されており、データベースとなっています。その記号を概観することで世の中の動きを知ることができるのです。

特許発明に付されている記号の一つがFI記号です。左図の様にA(生活必需品)~H(電機)までの記号が付されています。A~Hまでの記号はさらに細分化されており、各発明に関連した意味を表しています。

例えば、2015年の特許出願のうち一番件数が多いのがH電気(76,382件)であり、次いでG物理学(75,695件)となっています。これらの分類には自動車関連技術や電機・電子・エレクトロニクスなどが含まれていて、実際に大きな市場を形成していることがわかります。すなわち、研究開発しているから新しい技術や商品が生み出され、それが実際の産業として市場を形成していると言えます。

A(生活必需品)分野では健康関連の出願が多い

A分類ここで、A(生活必需品)を詳しく見てみると、2015年の出願件数は47,353件でした。その詳細は左図のように様々に分類されています。

A(生活必需品)を詳細に見るとA01~A99まで分類されています。上表を見ると、生活必需品と言っても様々な分類があることがわかります。中でも一番多いのがA61(医学または獣医学、衛生学)であり、ついでA63(スポーツ、ゲーム、娯楽)などの健康分野となっています。

ここで、A23(食品又は食料品)を詳細に見てみると以下の表のように分類されています。

A23(食品又は食料品)分野ではA23L(食料品または非アルコール性飲料など)の出願が突出

A23分類A23の分類では、A23L(食料品または非アルコール性飲料など)の出願件数が突出していることがわかります。

さらに、A23Lを詳しく見ると下図のようになります。

A23L(食料品または非アルコール性飲料など)分野では食品の栄養改善・ダイエット用製品の出願が多い

A23Lの詳細ここでは、食品の栄養改善、ダイエット用製品の出願件数が群を抜いていることがわかります。すなわち、健康食品やダイエット食品などへのニーズが高いために、それらに関係する特許出願件数も多いと言えそうです。

それ以外には、非アルコール性飲料や香辛料等の特許出願も多いことがわかります。仮にこの分野で新商品開発を行うのであれば今後の成長が期待できる「食品の形容改善、ダイエット食品、非アルコール性飲料、香辛料等」などが好ましいと言えるでしょう。ただし、成長分野は競争が激しいため、競争状況を見極めて当社の強みを活かせる商品開発をおこなうことが重要です。

特許出願傾向は世の中の動きの先行指標となる

特許出願が多いということは多数の企業が研究開発をしていることを意味しており、有望な市場であると考えているのです。そのため、特許出願の件数が多い分野は将来的に大きな市場を形成することが予見できます。

そして、特許情報を「鳥の目」のように全体を俯瞰したり、「虫の目」のように詳細に分析することで世の中の動きを見ていくことが可能となるのです。

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