「魚の目」とはモノゴトを時系列に見て将来を予測すること

FI記号ごとの各年度の出願件数「魚の目」とはモノゴトを時系列に見て将来を予測することです。時系列に見ることで今までの変化を知ることができます。そして、過去から現在に至る変化を延長することで将来を予測することが可能となるのです。

図は1990年~2015年まで5年おきにFI記号(A~H)を付された特許出願の推移です。(一つの出願に複数の記号が付されていることがあるため、上図の出願件数は実際の出願件数よりも多くなっています)

図からわかることは、1990年~2000年までは出願件数が増加傾向にあるということです。1990年はバブル時代であり、バブルが弾けたあとも企業における研究開発は盛んであったことがわかります。特に、半導体やエレクトロニクスは日本が強い時代であり、かなりの出願件数となっています。その後、技術が海外に流れ、G(物理学)やH(電気)における出願件数が減少している事がわかります。

一方、A(生活必需品)は横ばいであり、それほど落ち込みが大きくありません。農業関係や食品関係が多いためにそれほど落ち込んでいないと推測できます。

さらに、D(繊維、紙)やE(固定構造物)は1990年から出願件数も少なく、出願件数が減少しており、成熟産業担っていることがわかります。特許出願が少ないため研究開発がしぼんでおり、今後大きな技術革新は望めそうもありません。

これらはFI記号の大分類を見ているだけなので、大きな変化しかわかりませんが、それでもある程度世の中の推移を知ることができます。そして、より詳細に分析することで伸びたり落ち込んだりしている分野について考察することができます。

生活必需品の詳細例えば、左の表はA(生活必需品)についての2015年の出願件数です。

上表を見ると3,000件を超えているのはA01(農業等)、A23(食品等)、A47(家具等)、A61(医学等)、A63(スポーツ等)となっています。これだけだとA61(医学等)の出願が大きく、今後もどんどん成長する分野であるように感じます。

これらの分野を時系列に見ると次の図になります。

1990年から2015年において、A61(医学等)の出願件数が突出しています。しかし、ピークは2005年であり、その後かなり出願が減少していることがわかります。

生活必需品分類の出願推移一方、A63(スポーツ等)は、若干の上下はあるものの、右肩上がりで出願件数は増えています。また、A23(食品等)は横ばいであり、安定的に出願が推移しています。しかし、A01(農業等)とA47(家具等)は2000年頃のピークをむかえたあと減少傾向で推移しています。

このように魚の目で時系列に物事を見ることで、将来どのように進みそうかという予測を立てることが容易となるのです。

 

 

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